横浜国立大学(横国)は、横浜市保土ケ谷区の常盤台にキャンパスを構える国立大学です。首都圏の国公立大学の中でも人気が高く、「偏差値はどれくらい必要なの?」と相談されることがとても多い大学でもあります。この記事では、塾で受験生を見てきた立場から、学部別の偏差値、共通テストの目安、教科別の勉強法、いまからできる準備までを順番にお話しします。
横浜国立大学の偏差値と全体の立ち位置
横浜国立大学を目指すなら、まず気になるのが偏差値です。ただ、横国には教育、経済、経営、理工、都市科学の5つの学部があり、学部や学科によって数字がかなり違います。ここでは全体像をつかむために、学部別の偏差値と、数字を読むときのコツ、国公立大学の中での位置づけを整理します。
学部別の偏差値の目安
横浜国立大学の偏差値は、学部や学科によっておよそ52から67の幅があります。河合塾、ベネッセ、東進といった予備校のデータをまとめると、次の表のようになります。
| 学部 | 偏差値の目安 | 共通テスト得点率の目安 |
|---|---|---|
| 経営学部 | 64.0〜66.0 | 78〜82% |
| 経済学部 | 62.5〜65.0 | 77〜82% |
| 理工学部 | 57.5〜65.0 | 72〜85% |
| 都市科学部 | 55.0〜67.0 | 73〜86% |
| 教育学部 | 52.0〜63.0 | 62〜75% |
一番高いのは経営学部で、64から66ほどです。経済学部も62.5から65と高めです。教育学部は美術などの実技系を含むため下限が52と低く見えますが、言語・文化・社会系は63ほどあり、決して楽な学部ではありません。理工学部と都市科学部は学科の幅が広く、建築のように67近くになる学科もあります。数字だけで「この学部は簡単」と決めつけないことが大切です。
偏差値は予備校ごとに違うって本当?
同じ学部でも、予備校によって偏差値が少しずつ違います。これは、各予備校の模試を受けている生徒の層が違うためです。河合塾の全統模試と、ベネッセ・駿台の模試では、参加者の学力分布が同じではありません。
そのため、志望校判定は自分が受けている模試の数字で見るのが基本です。いくつかの予備校の数字を並べて「ここが一番低いから安心」と選ぶのはおすすめしません。実際の入試は、模試の偏差値ではなく、その年の受験生の中での順位で決まります。
偏差値は毎年少しずつ動きます。受験する年度の最新データは、予備校の公式サイトや横浜国立大学の入試ページで必ず確認してください。この記事の数字も、あくまで目安として使ってもらえればと思います。
国公立大学の中での位置づけ
横国は、関東の国公立大学の中で、東京大学、一橋大学、東京科学大学、東京外国語大学などに続く上位グループの一角として見られることが多い大学です。いわゆる難関国立大学に数えられ、早慶上理やMARCHを併願しながら、国公立の第一志望として挑む生徒がたくさんいます。
神奈川県の生徒にとっては地元の国立大学で、通学しやすい点も人気の理由です。私立大学より学費を抑えやすいので、保護者の方からの関心も高い印象があります。
横国には、学部ごとに学べる分野がはっきり分かれています。偏差値だけで選ばず、経済学や建築学、教員養成など、自分が学びたい内容から学部を選ぶと、受験勉強の続きやすさも変わってきます。
共通テストと入試方式から見る合格ライン
横国の合格ラインを考えるときは、偏差値に加えて共通テストの得点率と入試方式も押さえておく必要があります。ここでは、学部ごとの得点率の目安、前期日程と後期日程の違い、そしてボーダーを超えていても気を抜けない理由を、塾での指導経験をもとにまとめます。
学部ごとの共通テスト得点率の目安
共通テストの得点率は、学部によって目安が変わります。先ほどの表をもとに、ざっくり整理すると次のようになります。
- 経営学部は約78〜82%
- 経済学部は約77〜82%
- 理工学部は約72〜85%
- 都市科学部は約73〜86%
- 教育学部は約62〜75%
上の数字は学科や入試区分によって幅があります。たとえば理工学部の機械工学や電子情報システムのように人気の高い学科は上寄り、教育学部の実技系の区分は下寄りになります。目安として8割前後を取れる力をつけておくと、多くの学部で安心して二次試験に進めます。
前期日程と後期日程の違い
国立大学の入試には、前期日程と後期日程があります。横国の募集は前期日程が中心で、後期日程は募集人員が少なく、実施する学部や学科も限られます。後期は倍率が高くなりやすいので、はじめから後期を本命にする戦い方は、あまりおすすめできません。
まずは前期で合格をつかむ計画を立てましょう。後期や私立大学は、前期がうまくいかなかったときの備えとして考えておくと、気持ちにも余裕が生まれます。
入試方式や配点は、年度によって変更されることがあります。必ず最新の学生募集要項で、受験したい学部の科目と配点を確認してください。
ボーダーを超えても油断できない理由
共通テストでボーダーを超えていても、合格が決まるわけではありません。多くの学部では共通テストと個別試験(二次試験)の合計点で判定され、二次試験の比重も小さくないためです。
実際に、共通テストでは少し足りなかったのに、二次試験で逆転して合格する生徒もいます。反対に、共通テストで高得点を取ったのに、二次の記述式で点が伸びずに悔しい思いをする生徒もいます。
横国を目指すなら、共通テスト対策と並行して、記述式の答案を書く練習を早めに始めることが大切です。そのうえで、過去問を使って二次試験の時間配分を体で覚えていきましょう。
横浜国立大学に合格するための教科別の勉強法
横国に合格するには、教科ごとの特徴をつかんで勉強することが近道です。ここでは英語、数学、そして理科・国語・社会の三つに分けて、具体的な単元や取り組み方を紹介します。学部によって必要な科目は違うので、自分の志望学部に合わせて読み進めてください。
英語は長文読解と自由英作文がカギ
英語は、ほとんどの学部で受験する大事な科目です。まずは単語・熟語・文法の土台を固めたうえで、長文読解の量をこなしていきます。1日1題でも構わないので、毎日続けるのがコツです。
横国の二次試験では、読解に加えて自由英作文などの記述が出題される傾向があります。ただ、出題形式は年度で変わることがあるため、過去問で必ず確認してください。自由英作文は、自分で書いた答案を学校や塾の先生に添削してもらうと、短期間で伸びます。
リスニングは共通テストで得点源になります。毎日少しでも英語の音声を聞く習慣をつけておくと、直前期に慌てずにすみます。
数学はベクトル・数列・微分積分を重点的に
理工学部や都市科学部を目指す人にとって、数学は合否を大きく左右する科目です。特にベクトル、数列、微分積分、確率は頻出単元なので、教科書の例題レベルから入試レベルまで、段階を踏んで演習を進めましょう。
経済学部や経営学部でも、数学を受験科目にする入試区分があります。計算力は一朝一夕には身につかないので、高校1年生のうちから毎日の計算練習を習慣にしておくことをおすすめします。
答案は、途中の式や考え方を省略せずに書く練習をしてください。わかっているのに点が取れない原因の多くは、説明の不足です。解いた問題を後日もう一度解き直す復習も、忘れずに続けましょう。
理科・国語・社会の対策のポイント
理系では、物理の力学と電磁気、化学の理論化学と無機化学が土台になります。公式を覚えるだけでなく、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるようにしておくと、応用問題にも対応できます。
文系では、国語の現代文と古文で、設問に根拠をもって答える練習が欠かせません。社会は、日本史探究、世界史探究、地理探究、政治・経済など、選んだ科目の流れを通史でつかむところから始めましょう。
共通テストでは、理科や社会の基礎的な内容が幅広く出題されます。苦手科目を放置せず、高校2年生の冬までに一通りの範囲を終えられるように計画を立てておくと、受験学年が楽になります。
中学生・高校生がいまからできる準備
横国合格に向けた準備は、高校生になってからでは遅いとは言いませんが、早く始めるほど有利です。ここでは、中学生の高校選び、塾や予備校の選び方、学年ごとの過ごし方を紹介します。中学生の人も、高校生の人も、いまの自分の学年のところから読んでみてください。
高校選びと内申点を意識する
中学生のうちにできる準備は、高校選びです。神奈川県では、横浜翠嵐高校、湘南高校、柏陽高校などの公立進学校から、毎年のように横国へ進学する生徒が出ています。ただ、有名な高校でなくても、コツコツ努力すれば合格は十分に狙えます。
公立高校を受験するときは、内申点が合否に関わります。中学校の定期テストと提出物、授業態度を大切にして、日々の勉強習慣をつけておくことが、高校入試だけでなく大学受験にもつながります。
高校を選ぶときは、偏差値だけでなく、家からの通いやすさや校風、部活動との両立も考えてください。無理なく3年間通える高校が、結果として大学受験で力を発揮しやすくなります。
塾・予備校の選び方
横国を目指す生徒がよく通う塾や予備校には、それぞれ特徴があります。自分の性格や生活リズムに合うところを選ぶことが、続けるうえでいちばん大切です。
| 塾・予備校 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 河合塾 | 集団授業と全統模試が充実している | 仲間と競い合いたい人 |
| 駿台予備学校 | 講義の質が高く、論理的な解説が強み | 難関大の記述対策をしたい人 |
| 東進ハイスクール | 映像授業で自分のペースで進められる | 部活動と両立したい人 |
| Z会 | 通信教育で、添削指導を受けられる | 自宅で記述力を鍛えたい人 |
どの塾にも、無料の体験授業や学習相談があります。体験を受けて、先生との相性や教室の雰囲気を確かめてから決めましょう。料金やコースは変わることがあるため、最新の情報は各塾の公式サイトで確認してください。
学年別の過ごし方
最後に、学年ごとの過ごし方の目安をまとめます。
- 中学3年生は、高校入試に向けて英語と数学の基礎固め
- 高校1年生は、毎日の学習習慣づくりと英単語・数学の計算練習
- 高校2年生は、苦手科目をなくし、共通テスト範囲を一通り終える
- 高校3年生は、過去問演習と記述の添削を中心に仕上げる
上の流れはあくまで目安です。部活動や学校行事の予定に合わせて、無理のない計画に直して構いません。大切なのは、毎日少しずつでも机に向かうことです。いまの自分にできる一歩から、始めてみてください。
